塩瀬総本家


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口コミ
徳川家康献上の極薄皮の本饅頭のほか,上生菓子も揃える日本最古の和菓子店
KQ(128) [携帯電話番号認証済]
2014/05最終訪問
★★★☆3.9
(詳しい評価)

★★★☆3.9
2014/05訪問
現存する和菓子店で最も創業が古いといわれるのが,この塩瀬さん。室町時代初期の1349年に,創業の地の奈良で,初代林浄因が餡入りの饅頭を日本で初めてつくったという,日本の饅頭の元祖です。応仁の乱による京都から愛知への疎開や分家もあるものの,現在は35代目,今年で創業655年になる大老舗です。

創業の地の奈良から京都に移り,後水尾天皇から塩瀬山城大掾(山城は京都の旧国名)の官名を許され,さらに,室町幕府第8代将軍足利義政から「日本第一番饅頭所」の直筆の看板を贈られて,御用菓子司の筆頭格となります。その看板のレプリカが,写真のように本店内に飾られています。比較されがちな京都発祥で赤坂本店の全国のデパ地下に入る和菓子店も,室町時代からの御用の歴史があり,当時から競合するお店のようですが,こちらがそれを凌ぐ点は奈良での饅頭の創始部分であり,また義政の看板です。

京都では烏丸六角,現在も続く町名で饅頭屋町に店を構え,それは塩瀬の饅頭屋があったから。その後,7代目が考案した,写真の家伝・本饅頭を徳川家康に献上し,それが長篠の戦いの戦勝祈願のお供えとしても使われたという壮大な歴史です。ここまでは京都のお話しで,その後,江戸幕府の御用のため東京・日本橋に移り,明治初期から宮内庁(当時宮内省)御用達。戦後に聖路加国際病院の隣地,築地・明石町に落ち着きます。

とすると,まず買うべきものは,徳川家康がお供えとした本饅頭。こちらは日持ちしない生菓子扱いで,本店でも当日売り切るもののみです。大量生産できる品でなく,私が買った午後2時台で,写真のように残り4個。もともと箱詰めの品だけを提供する,駅や空港の売場では見かけません。

この本饅頭は,小豆餡に現在は十勝大納言をあらかじめ蜜漬けしたものを含み,そこに1mmもない極薄の皮,というより皮膜をつけ,写真のように蒸し上げたもの。皮膜は乳白色で透過性があり,大粒の大納言を含む餡がそのまま見えます。この薄い皮膜は,餡の外側が乾かない工夫で,餡そのものをまったり食べさせるお菓子です。

和菓子の生命線の餡は当然自社製餡で,重量比で砂糖よりも小豆が最大の構成となる,申し分ない配合。他に飴以外何も含まないために,見かけほどには甘くなく,重いですが小豆の旨みが活きています。さらに皮が極薄のため,餡の風味の邪魔をせず,小豆の旨みと香りを,噛むごとに楽しめます。饅頭系で,皮より餡に魅力を感じる向きには,本来の餡の風味を堪能できる他にあまりないタイプのお菓子です。ただし,赤福や圓八のあんころよりは堅めで,むしろ,きんつばの皮がないような素朴な食感です。

一方,現在デパ地下の出店や駅・空港の売り場でよく見かける定番は,箱詰めの塩瀬饅頭の方。こちらは皮に小麦粉を一切使わず,上新粉(米粉)と山芋(大和芋)だけでつないだ,正統の薯蕷饅頭です。皮の表面に「志ほせ」の焼き印が入るのも,もうおなじみ。食べてみると,山芋のもっちりした食感がほどよく,またお芋由来のほのかな甘みと自然な旨みが残ります。過去のレビューで,小麦粉と重曹で作った普通の饅頭の皮との違いがわからないものを読みましたが,薯蕷饅頭を知らないと評価もそうなってしまうのでしょう。

この薯蕷饅頭には,より大きなサイズで生菓子扱いとして,月替わりで季節の意匠をほどこしたものがあり,最近では四月が桜花を載せた花見,五月が新緑の色使いの織部でした。こちらの方が箱詰めの塩瀬饅頭よりもサイズが大きく,薯蕷饅頭本来の旨みともっちり感が伝わりやすいでしょう。これも大量に作れるかどうかの違いで,致し方ありません。

饅頭の他,上生菓子も月替わりで五品程度きちんと継続されているのも,このお店の評価できる点。饅頭を看板として,デパ地下にお店を出されると,在庫リスクの点でもう上生菓子は止めるというお店も東京では多いのですが,こちらは自前で茶室と教室をもっていることもあり,上生を続けられています。上生菓子が和菓子の頂点であることは見失われていないようです。

写真に構成を付けましたので,細部はそちらで判断してもらうとして,漉し餡で練り切りという構成が多いのが,わりと好みの点。餡も上生菓子としては甘すぎず,まっとうなお味です。もっとも,時期の問題はあるでしょうが,きんとんがないか,(他の月のも見ましたが)あっても種類が少なめとか,木型で押して成形されたものが多く,細工は控えめの傾向もあります。

惜しいのは,室町時代から長らく京都でお店を営まれ,その繁華街・饅頭屋町の由来とまでなりながら,すでに京都にはお店がない点でしょう。現在の出店も関東のデパ地下店や駅・空港などに限られて,バックグラウンドに気づかないと関東ローカルのお店という印象になります。私も昔は,饅頭専業店かと思っていた時期がありました。しかし,餡をきちんとつくられており,関東だけに展開する大手和菓子店では珍しく上生菓子を続けられているのは,本来の伝統を守っておられるといえ,もっと評価されてよいお店と考えます。
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塩瀬総本家 - 料理写真:徳川家康献上の家伝・本饅頭 塩瀬総本家 - 料理写真:本饅頭は,餡に極薄の皮をひき,軽く蒸し上げたもの 塩瀬総本家 - 料理写真:上生菓子・あやめ(漉し餡を包んだ練り切り) 塩瀬総本家 - 料理写真:上生菓子・落し文 塩瀬総本家 - 料理写真:落し文は,白餡を緑の練り切りで巻く 塩瀬総本家 - 料理写真:上生菓子・びわ(黄味餡を外郎で包む) 塩瀬総本家 - 料理写真:上生菓子・清流(漉し餡を道明寺入りの寒天生地で巻く) 塩瀬総本家 - 料理写真:上生菓子・水牡丹(求肥で包んだ白餡をさらに桜色の羊羹で包む) 塩瀬総本家 - 料理写真:上生菓子・牡丹(漉し餡を包んだ練り切り) 塩瀬総本家 - 料理写真:塩瀬饅頭の焼き印は「志ほせ」 塩瀬総本家 - 料理写真:塩瀬饅頭の中は漉し餡 塩瀬総本家 - 料理写真:季節ごとに変わる薯蕷饅頭の五月は織部 塩瀬総本家 - 料理写真:織部薯蕷饅頭も中は漉し餡 塩瀬総本家 - 料理写真:季節の薯蕷饅頭の四月は花見 塩瀬総本家 - その他写真:本饅頭の原材料は,小豆,砂糖,小麦粉,水飴のみ 塩瀬総本家 - その他写真:塩瀬饅頭の原材料は小豆・砂糖の順で,皮には小麦粉を使わず米粉(上新粉)と山芋だけ 塩瀬総本家 - 内観写真:上生菓子は月替わりで五種 塩瀬総本家 - 内観写真:ショーケース(上生菓子と本饅頭,薯蕷饅頭) 塩瀬総本家 - 内観写真:ショーケース(定番・塩瀬饅頭など) 塩瀬総本家 - 内観写真:上生菓子や饅頭の他に,羊羹や桃山なども揃える 塩瀬総本家 - 内観写真:足利義政直筆「日本第一番本饅頭所」の看板のレプリカ 塩瀬総本家 - その他写真:1868年(明治元年)から現在に至る宮内庁御用達 塩瀬総本家 - 外観写真:築地の聖路加ガーデン向かいの自社ビル 塩瀬総本家 - その他写真:本饅頭の由来書には,徳川家康が長篠の戦いにお供として戦勝を祈願した史実がある 塩瀬総本家 - 内観写真:本店内の又隠うつしの茶室・浄心庵
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この口コミの詳しい評価
■各項目の評価
夜:総合評価:
夜:料理・味 :
夜:サービス  :
夜:雰囲気 :
夜:CP   :
夜:ドリンク  :
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昼:総合評価:★★★☆3.9
昼:料理・味 :〓〓〓==3.9
昼:サービス  :〓〓〓〓4.0
昼:雰囲気 :〓〓〓〓4.1
昼:CP   :〓〓〓==3.8
昼:ドリンク  :
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■使った金額
夜:-
昼:¥3,000~¥3,999
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